従前、社会福祉法人は措置制度に基づく福祉サービスを運営しており、その会計は経理規程準則に基づいて処理されていた。
その後、介護保険や障害者自立支援などの福祉サービスの制度ができ、福祉サービスが「措置から契約」へ移行していったことにより、それに併せて会計ルールが設けられた。
これにより様々な会計ルールが併存することになり、事務処理が煩雑、計算結果が異なるなどの問題が生じることになった。
なかでも、平成12年に施行された社会福祉法人に適用される「会計基準」と指定介護保険事業所に適用される「指導指針」の会計ルールは、指定介護保険事業を経営する社会福祉法人の場合、どちらの会計ルールを適用すれば良いのか施行当初から混乱しており、現在でも各法人が任意でいずれかを選択して会計処理している。
平成18年に国会答弁で一元化に向けて準備を進めることが示されたが、しばらくは具体化されてこなかった。
その社会福祉法人の会計ルール一元化に向けて、昨年12月にようやく厚労省から新会計基準の素案が示された。
それまでの会計ルールを包括するものとして社会福祉法人が行うすべての事業を適用対象とし、早ければ24年度から施行される予定である。
当法人のように、介護保険事業や障害者自立支援事業、児童福祉事業等の様々な福祉サービスを経営している場合、会計処理が統一されると財務諸表も分かりやすくなりそうである。
その新会計基準の素案の概要を、示された資料に基づいてまとめてみる。
1.区分方法の変更
法人の事業区分を「社会福祉事業」「公益事業」「収益事業」に区分し、その区分ごとに施設や事業所単位の拠点区分をもうける。その拠点で実施する福祉サービスをサービス区分として分ける。これは現行の指導指針と同じ取扱いとなる。
2.財務諸表の作成
従来の計算書と定められていた「資金収支計算書」「事業活動収支計算書」「貸借対照表」「財産目録」のうち、「資金収支計算書」「事業活動計算書」「貸借対照表」を財務諸表3表として拠点区分ごとに作成する。また財務諸表3表を補完する福祉サービスごとに必要な付属明細書を作成し、最後にすべての区分を包括する法人全体の財務諸表3表ならびに財産目録を作成する。
また財務諸表の注記事項に、退職給付制度や減価償却、徴収不能引当金、保有債券の状況等の9項目を追加する。
3.その他の変更点
・基本金は法人の設立及びに施設整備等、法人が事業活動を維持するために収受した寄付金に限定し、4号基本金を廃止する。また国庫補助金等特別積立金は固定資産以外のものも計上できるようにし、施設設備整備資金借入金償還補助金を追加追加する。これは指導指針に準する。
・引当金は「徴収不能引当金」「賞与引当金」「退職給付引当金」に限定する。
・退職共済掛金の取扱いについて、福祉医療機構の掛金は従前通りとし、都道府県等が実施する退職共済制度については掛金を預け金として資産計上し、同額を退職給付引当金に計上することに統一させる。岐阜県他は退職給付要支給額を引当金計上させているので変更が必要となるか。
・共同募金配分金等の取扱いを明確にし、一般配分金や特別配分金は民間団体からの助成金と同様の処理をし、受配者指定寄附金は寄附金処理とする。
(8)社会・援護局詳細資料のなかに新会計基準素案が添付されています。
厚生労働省:平成22年全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会)資料
http://www.mhlw.go.jp/topics/2010/01/tp0121-1.html