社会福祉法人豊寿会:サンライフ彦坂

「我・輪・和」~職員連携と個別ケア~

| コメントする

平成18年度全国老人福祉施設研究会議<北海道・札幌会議>(平成18年10月17日)でサンライフ彦坂が研究発表した内容を公開します。

061017hokkaido.jpg個別ケアを実践するためには個々のニーズ把握と職員連携が欠かせない要素であるが、各職種間での情報の共有やリアルタイムでの連携が取れていない状況では個々のニーズ把握が不十分で、施設から与えられた環境での生活しかできていない状況になりがちだった。個々のニーズを満たし、その人の生活背景に沿った生活を送っていただくため、利用者本人がどうしたいと思っているかを大切にし、全職員がその思いに向かって連携できる組織作りを行うことを課題とした。

取り組んだ課題

個別ケアを実践するためには個々のニーズ把握と職員連携が欠かせない要素であるが、各職種間での情報の共有やリアルタイムでの連携が取れていない状況では個々のニーズ把握が不十分で、施設から与えられた環境での生活しかできていない状況になりがちだった。個々のニーズを満たし、その人の生活背景に沿った生活を送っていただくため、利用者本人がどうしたいと思っているかを大切にし、全職員がその思いに向かって連携できる組織作りを行うことを課題とした。

活動の成果と評価

全職種が連携して個別の企画を実施することで、全職員の情報共有への意識を生んだ。その人が何を望んでいるかを意識した処遇を自然と行えるようになった。その人の好きなこと・その人らしさを各部署が把握できるようになった。他部署との連携が自然となり、申し送りの意識が上がった。個々の『我(わ)』が繋がり『輪(わ)』となり全体の調和『和(わ)』を作り出している。

今後の課題

人と人との関わりの中にも「個」は存在しているという視点を持ち、グループケア・個別ケアをミックスした関わりが今後の課題である。

発表

061016slide1.jpg『我・輪・和』~職員連携と個別ケア~の発表をさせて頂きます。岐阜県特別養護老人ホームサンライフ彦坂、発表者・機器操作の宮山修と川島直也です。よろしくお願い致します。

「本当に自分らしい生活を送る事ができた。」「この施設で暮らせて良かった。」と心から満足感を味わってもらえる事が、サンライフ彦坂全職員の思いです。私たちサンライフ彦坂では、利用者一人ひとりが自分の意志で最高の自分を創りだして頂けるよう、総合的な個別ケアを行っています。個別ケアを実践するためには、個々のニーズ把握と職員連携が欠かせません。連携が不十分なときには、各職種間での情報の共有やリアルタイムでの連携が取れず、個々のニーズ把握が不十分で、その人らしさが反映されていない状況でした。その人らしさを実現するためには、利用者本人がどうしたいと思っているかを大切にし、全職員がその思いを共有し、その思いに向かって連携できる組織作りを行うことが必要でした。サンライフ彦坂が目指すものは、専門的な分野を持った各部署が集結して連携し、利用者一人ひとりのその人らしさを実現していくことです。

061016slide2.jpg一人ひとり入所する経緯、入所前の暮らし、心身状況は全く違います。その人らしさはバラバラでいろいろな形があり、一人ひとりの『その人らしい生活』、つまり『我』の思いが、いろいろなところに点在し、影響を与え合っています。人は一人ではなく、どこかで誰かと繋がりたいという思いを持っています。例えば、施設に入所した方を職員がサポートすることで、その人らしさが、他(ほか)の人のその人らしさと繋がって、『輪』を作り、誰かと繋がりたいという思いを叶え、個々の個性をより一層輝かせることができます。輪になることで一人ひとりの個性は尊重され、全体の調和『和』が生まれます。

061016slide3.jpg連携が確立されていないときには、各部署間で、情報が伝わりませんでした。伝わらないことで利用者に関する情報共有が上手く出来ず、個別ケアを実施するうえで必要な一人ひとりのニーズ把握が出来ないという問題が生じました。そこに問題意識を持ち、その状況を変えるために、大きく3つの取り組みを行いました。一つめが、申し送りの徹底です。日程、その日の変化、一日気をつけることなどを、それまで以上に細かく丁寧に申し送りをし、申し送りの中で、理念・キャッチフレーズの復唱、インプロ、連携の大切さを加えることで、申し送りの技能向上を図りました。
二つ目が、電子メールの活用です。スケジュール共有、電子決済、行事報告などを、全職員がパソコン上で、いつでも確認することが出来、報告・連絡・相談・確認の作業がよりスムーズに行われるようになりました。現在、サンライフ彦坂では電子メールの活用はなくてはならないものとして定着しています。
三つ目は、会議・研修です。サンライフ彦坂では毎週木曜日に施設内研修を行っています。研修は、各部署の職員が持ち回りで主催し、それぞれの部署からの情報提供の場として、活用されています。例えば、介護のマナーに関する研修、記録・文書管理に関する研修など様々です。
こうした取り組みによって、現在では職員間の密な情報交換がされるようになりました。

061016slide6.jpgそれでは、サンライフ彦坂における各部署の役割を紹介します。まず介護員は、利用者の皆さんと直接関わる機会が多いということから、主に発信者として、本人からのニーズ把握を基に起案の作成に繋げます。その際に必要な項目についてはその都度、各部署に連絡し、相談します。続いて看護員は、介護員と同じく直接利用者の皆さんと関わる中で、本人の状態確認を医務の立場から行い、必要に応じて主治医に相談するなど、対応しています。栄養員は、食事に関する相談がメインとなります。普段の利用者の皆さんの食事に関する相談について対応し、その内容を栄養ケアプランに繋げています。個別誕生会においては本人の好きなケーキについての相談を受けるのも栄養員の一つの役割です。相談員は、利用者の皆さんからの直接的な相談対応や、ご家族への連絡をメインに行っています。本人・ご家族の要望などを現場の職員に伝えるのも相談員の一つの役割となっています。最後に事務員ですが、事務的な手続きの相談がメインとなります。起案の確認など事務員が確認しているものが多く、書類・記録に関するチェックなどを行っています。また、個別誕生会においては、一人ひとりの方に出される誕生会費用の取りまとめを、中心になって行っています。

061016slide7.jpg各部署の役割はこのようにそれぞれ存在しますが、それらがただバラバラにされているのでは施設として上手く機能しません。サンライフ彦坂の連携のイメージはこのスライドの通りです。あくまで利用者の皆さんやご家族が中心であり、各部署の職員は利用者の皆さんやご家族をサポートするために存在してるという意識に立っています。「何のために各部署が動くのか?」「それは利用者の皆さんやご家族の、笑顔を引き出すため」という答え、目的がはっきりしていることで、連携の必要性を職員一人ひとりが理解することが出来ます。そして、こうした連携が利用者の皆さんの「その人らしさ」を引き出す個別ケアへと繋がっています。

061016slide8.jpgその人らしさや個性を発見し、それを最大限に発揮した生活を、継続できるよう支援する為に、私たちサンライフ彦坂では「おむつゼロ」・「個別誕生会」・「介護予防リハビリ」等の様々な取り組みを行っています。これらの取り組みは全てに関連があり、「その人らしさ」を高めていく上で、相乗効果があります。利用者の皆さんの「その人らしさ」を発揮できる生活を支援するために、一つの取り組みだけで終わるのではなく、幾つもの関わりを通して、全人格的な理解に努めることを目的としています。

次に「個別ケア」実施までの一連の流れを紹介します。

  • 利用者のニーズを聞く
  • 各部署と相談・連絡。介護員だけで決めるのではなく、看護員、栄養員、相談員、事務員にも相談・連絡をし、起案を作成する。
  • 決裁を得る。
  • パソコンを利用し全職員で情報を共有する。
  • 実施。
  • 実施報告。

毎日が楽しみになりQOLの向上へと繋がっていきます。

061016slide9.jpgそれでは、サンライフ彦坂の「個別ケア」の中心となっている、「個別誕生会」について説明します。「個別誕生会」とは、月ごとに、集団で誕生会を開いてお祝いするという、それまでの関わりを変え、個々の利用者が、どんな誕生日を迎えたいか、誰と過ごしたいのか、何をしたいのかを、本人のニーズの聞き取りを中心とし、生活歴からの読み取り、家族からの意見を取り入れ、その人その人に「夢が叶った!」と、満足していただける誕生日を迎えて頂こうとする取り組みです。100人の方に100通りの誕生会が行われています。

その中でKさんの事例を紹介します。「個別ケア」と「組織連携」という2つの観点からご覧下さい。
Kさん 77歳 女性、要介護5、アルツハイマー型認知症により、現在意思表示が難しく、車いすにて介助により移動をされています。Kさんの「個別誕生会」として、ご家族の面会が多く、ご本人もご家族との時間を楽しんでいるという観点から、ご家族の待っている自宅へ帰ることを誕生会として、介護員が企画しました。

061016slide12.jpg各部署の関わりは次の通りです。
まず介護員は、「何がしたいか?」「どこへ?誰と?」という本人・家族のニーズを把握し、誕生会に向けて起案作成、各部署への相談を行います。続いて看護員は、本人の状態を確認しながら外出に向けて主治医にも相談し、各部署と身体状況等について相談していきます。相談員は、当日に向けて家族との連絡・調整を行います。その中で、家族の参加がどうか?都合の良い日時はいつか?の確認を行います。栄養員は、誕生会での食事に関して相談を行います。誕生会に合わせてケーキを発注しているため、栄養員を中心に、本人の好きなケーキを提供するための確認もしています。最後に事務員は、起案書全体のチェックおよび誕生会費用をどのように使うかの相談・確認を行います。
これら各部署の関わりが結集することで、利用者・ご家族の満足できる個別誕生会を実施することが出来ます。

次に、誕生会の様子をお伝えします。ご家族と自宅前にて記念撮影を行いました。近所の神社へもご家族とゆっくり、散歩を兼ねて散策されました。その後は、馴染みの方とも再会され、思い出話で盛り上がり、あたたかい雰囲気となりました。

061016slide13.jpg今回の個別誕生会を通して、次のような効果が得られました。Kさん本人は、馴染みの方に囲まれ、充実した時間を満喫し、ニーズの充足に繋がりました。職員にとっては、本人に関する職員間の情報共有に繋がり、連携の強化に至りました。家族は、今回の誕生会で、本人と一緒に過ごすことの満足感から『在宅復帰』への思いを強くされました。この誕生会の後、ご家族の方から「自分たちで本人を実家へ連れて行きたい」という思いを伺いました。そこで詳しい日時・行き先などの連絡を相談員が家族と行い、本人の状態確認を看護員が中心となって行い、ご本人を車へ移乗する際には、介護員がご家族に移乗の方法を教えるなど、各部署が連携し、ご本人・ご家族の思いを実現するためのサポートを、引き続き行うことが出来ました。

061016slide14.jpg今回の事例のように、各部署がそれぞれの役割を果たし、利用者・家族のニーズのために協力するという組織連携が、より良い個別ケアを生み出します。そしてより良い個別ケアがさらなる情報共有・連帯感を生み、組織連携を強くします。「組織連携」と「個別ケア」は単独ではなく、相乗効果で、お互いによい影響を与えているのです。

061016slide15.jpg一人ひとりの「その人らしい生活」を支援することで、施設は、その実現のために職員が思いを共有し、「利用者一人ひとりの思いが実現する」集合体となり、利用者、家族、地域の人々とともに、職員の関わりから穏やかな和みある生活を支援していくことをこれからも目指しています。
「個々の『我』が繋がり、『輪』となり、全体の調和『和』が生まれる。」
サンライフ彦坂は、これからも「我・輪・和」を大切にしていきます!

以上で発表を終わらせて頂きます。ご静聴ありがとうございました。

このブログ記事と同じカテゴリの記事

コメントする・質問する

最近のブログ記事

もうすぐ七夕ですね。
もうすぐ七夕ですね。
毎日暑い日が続きますね。この日はみなさんで七夕の...
子供たちとの交流
子供たちとの交流
今年度も近隣の保育所と交流させていただけることに...
楽しい時間。
楽しい時間。
蒸し暑い日になりましたね。ごはんのときにはお茶を...
カップケーキを作りました
カップケーキを作りました
デイサービスでは今月のおやつ作りでカップケーキを...
彦坂梅を漬けました
彦坂梅を漬けました
デイサービスでは、彦坂梅を使用し「梅シロップ」を...
Creative Commons License
このブログのライセンスは クリエイティブ・コモンズライセンス.

このブログ記事について

このページは、hasebee@編集長が2006年10月17日 15:09に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「ちょっとひとこま。」です。

次のブログ記事は「みんなでベランダ園芸。」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

アーカイブ