社会福祉法人豊寿会:サンライフ彦坂

オムツ使用0(ゼロ)を目指して!!

| コメントする

とよはし100祭サポートイベント愛・個別ケアフォーラム<豊橋大会>(平成18年10月28日)でサンライフ彦坂が発表した論文を公開します。

0610281.JPG施設ではおむつを使用する、が利用者も職員も当たり前にならないように、利用者一人一人の排せつパターンを調査し、それぞれに適した排せつ方法を見つけ、まずトイレに行く習慣から始めることにしました。そして「おむつゼロ」を目指しました。

はじめに

個々のアクティビティーを活性化させた生活を送っていただくため、オムツなんて必要のない当たり前の生活を作り出す「オムツゼロ」への取り組みを2年前より始めました。その結果として、オムツゼロの先にあるのは、その人らしい生きがいを持った個性的な生活を楽しく送ることです。オムツの必要ない生活が個別ケアへと直結しているのです。
施設に入所すると、オムツを使用することに利用者も職員も慣れてしまいがちです。誰もが、在宅で生活していた頃はトイレに座って排泄するのが当たり前で、よほどの事情がない限り日常生活でオムツを使い続ける生活は考えも及ばなかったはずです。現在の施設生活では、職員の都合で、オムツ交換・トイレ誘導することで、尿意・便意以外に、あまりにも多くのものが奪われ、個々の自分らしさも薄れてしまっているのです。
まず職員が、利用者への誠実な愛情を持って、本気で個々の人生と係わることで、オムツのない生活を作り出し、自立排泄とその先にある、なんでもやりたいことが自分で出来る生活を作り出していくことを目的として取り組みを行いました。
オムツゼロの取り組みを行っていく中で、家庭での個性豊かな生活を思い出し、今以上に自分らしい生活を送っていただくことを望んでいます。その為にも、個々に合わせた排泄スタイルを見つけ出し、自立した生活の基盤を作り出していくサポートを行い続け、好きなパンツを自分で選んではいていただける、当たり前の日常生活を作り出していきます。
事例を通して、この取り組みを整理し、個別ケアに重要なオムツの必要ない当たり前な日常生活について認識を深めていきます。今回の事例では、オムツに対する依存があり、排泄感覚・意思表示がない利用者を対象としています。

事例紹介

特養利用中の対象者Sさんが、オムツの必要がなくなり、自分らしい個性的な生活を送れるようになるまでの流れを取り上げます。年齢77歳、女性、要介護度4、認知症度Ⅲa、右半身麻痺と言語障害あり、移動は車椅子で自立ですが、移乗には全介助が必要です。
取り組み前の状況として、排泄感覚はなく、オムツを着けていることからくる臀部のかゆみのため、自分でオムツを外し掻くことがありました。何をしていても、すぐに居室に帰ることを希望され、日常生活への意欲がなく、他利用者との交流もありませんでした。
変化のない毎日が続く中、職員とSさんとの日常会話から、Sさんは「オムツは嫌」と感じている事を職員が掴み取りました。これをきっかけに、本人も交えて今後の生活について話し合い、目的「自分らしく日常生活を送ります」、目標「(1)トイレで排泄し、トイレでの排泄感覚を取り戻します。(2)尿漏れの量を減らします。」を掲げました。
まずは、排泄感覚が薄れていることから、Sさんに合った排泄時間把握の段取りと、オムツから布パンツ・尿取りパッドの使用へ移行し、ポータブルトイレでの排泄を職員2人対応の全介助にて行いました。時間の把握のためには、排泄ごとに失禁量とポータブルトイレでの排泄量をグラフ化することで、排泄時間の傾向を把握し、排泄介助時間と回数を調整することで、失禁量が最小限となる時間を見つけ出しました。グラフは10日間程度ごとに第1期から第3期まで作成し、各スパンごとに、排泄量を時間ごとに累積をすることで、パッド内での失禁量の多い時間帯をはっきりと確認できます。その前の時間帯に誘導を行うことで、パッド内での失禁量を減らしていくことができます。これを実践し、期ごとのトイレ排泄回数とパッド内での失禁回数を比較してみると、失禁回数が確実に減少し、トイレでの排泄回数が増えました。この結果は、当然日常生活についての変化にもつながりました。第1期には2人対応での全介助が必要でしたが、第2期開始時点では、職員1人が支えると、自分でズボンを下げ「私、これくらいならできるよ」と得意気に話をして頂けるようになりました。第3期にかけては、周囲への気遣いを行動で表し、日常生活に笑顔が多く見られ生活が活発になりました。食事量・水分摂取量・排泄量は増え、ポータブルトイレでの排泄が定着しパッド内の失禁がなくなりました。本人より「オムツなんかいらない、トイレに行きたい」とハッキリとした意思表示が多くなりました。排泄感覚が完全に戻ったのではありませんが、トイレで排泄をするという行動を取り戻し、自分の好きなパンツをはける日常生活が復活しました。

オムツから布パンツへ変更の具体的な取り組みの流れ

事例のように、オムツゼロへのアプローチを、オムツの使用をしていた人や失禁量の多かった人について行ったプロセスを整理します。
(1)対象者の目標設定をします。(2)トイレでの排泄を促す為にトイレ誘導を行います。(立位困難な利用者は、職員2人対応します。)(3)トイレ誘導の時間を調整します。(4)トイレでの排泄量とパッド内の失禁量を量りグラフ化します。(5)トイレ誘導の時間の見直しを行います。時間の見直しは、一度ですぐに見つけることはなかなか困難で、本当にその人に合ったトイレ誘導時間を見つけるまで繰り返し行います。
この取り組みを成功させるには、本人がそれを望み、オムツを使わない生活に喜びを感じていただけることが不可欠です。職員は利用者への愛情ある声かけ・それをサポートする介護技術・データを整理する力も必要となります。一度対応をしたらそのままではなく、本人の排泄状況や自立度にも変化がないか気をくばり、必要に応じて繰り返し見直しを行うことが大切です。

すべての利用者に行った結果の特徴

今までに継続的に行った取り組みから得た結果として、以下の効果がありました。
(1)認知症がありトイレを認識出来なかった利用者が、個々の定期時間にトイレに座ることで、トイレを認識し、排泄が可能になりました。(2)意思疎通が困難な利用者が、個々の定期時間にトイレに座ることで、尿漏れの量が減り、トイレでの排泄が可能になりました。(3)利用者自身が好きなパンツを購入しはくことにより、生活意欲が向上し、思いをはっきりと伝えることが多くなりました。(4)座位保持・立位保持・移乗動作・歩行動作の機能向上がありました。(5)昼夜のオムツ使用率が激減し、100名の施設利用者中、平成18年8月現在のオムツ使用者は3名、布パンツ使用者97名となりました。(6)本人の体調を考慮しながら、個々のトイレ誘導時間を把握し、継続して係わる中で、利用者の新たな一面・個性を今以上にのばし、意欲向上に繋げる事が出来ました。

職員連携について

オムツを外すことは、本人にとって身体的・精神的にも不安が大きいことです。利用者への負担が少しでも和らぐように、決められた日数でのデータ取りや、統一性を持った職員の連携が必要です。職員同士の連携として、誘導時間に職員同士声を掛け合い、全職員に伝えるため、パソコンでの情報共有・各種会議と申し送りでの伝達を、漏れのないように繰り返し行います。そうすることで、職員意識の統一を行い、全職員が同じ思いでオムツ外しに関わります。相談員は家族との橋渡し、医務は内服薬や健康状態把握、栄養員は水分・食事摂取量の把握、介護職員は現場での実践とデータ収集を行い、それらの行動と情報がトータルして、排泄改善へとつながっています。どこの部署がかけても支障が発生します。常に情報収集・伝達・実践・確認の努力を継続することで、プロの介護サービスとして提供し続けることができます。

まとめ

全ての利用者が当たり前の生活を送り、一方的に介助するのではなく、本人の出来る事は自分でやって頂き、残存機能を活用した自信に繋がるサポートをしています。
職員は常に利用者のニーズを聞き取り、すぐにケアプランに反映していきます。オムツの必要ない生活は、身体的にも精神的にも日常生活全ての基盤であり、そこから次に何を見つけ出して生活に取り入れることが出来るのかが大切です。オムツが外れたことをきっかけに、日常生活の中で、外出したい、おしゃれな服が着たい、元気になったから在宅へ帰りたいといった積極的な思いを引き出します。愛のある人と人との係わりを、職員一同にて行い続けることが、その人らしい生活をサポートする個別ケアに欠かせないことを、これからも実践し、より一層充実した係わりと企画実施を行っていきます。(サンライフ彦坂 粥川佳名恵)

0610282.JPG

このブログ記事と同じカテゴリの記事

コメントする・質問する

最近のブログ記事

もうすぐ七夕ですね。
もうすぐ七夕ですね。
毎日暑い日が続きますね。この日はみなさんで七夕の...
子供たちとの交流
子供たちとの交流
今年度も近隣の保育所と交流させていただけることに...
楽しい時間。
楽しい時間。
蒸し暑い日になりましたね。ごはんのときにはお茶を...
カップケーキを作りました
カップケーキを作りました
デイサービスでは今月のおやつ作りでカップケーキを...
彦坂梅を漬けました
彦坂梅を漬けました
デイサービスでは、彦坂梅を使用し「梅シロップ」を...
Creative Commons License
このブログのライセンスは クリエイティブ・コモンズライセンス.

このブログ記事について

このページは、hasebee@編集長が2006年10月28日 16:00に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「♪まったりと日帰り温泉♪」です。

次のブログ記事は「Smile is just spirit!(あなたの笑顔は私の元気)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

アーカイブ