社会福祉法人豊寿会:サンライフ彦坂

記録の玉手箱

とよはし100祭サポートイベント 愛・個別ケアフォーラム<豊橋大会>(平成18年10月28日)でサンライフ彦坂が発表した論文を公開します。

0610281.JPG記録の統一と共有は他部署を含んだ職員間の連携を深め、一貫した効率的なケアプランによる介護サービスの提供に繋がります。これにより、記録の統一や共有だけでなく、職員それぞれの介護技術の統一と向上の意識に繋がっていきました。

はじめに

人が生活する24時間の流れの中で、個々の生活を把握し個別ケアを実践していくのに必要な情報は山のようにあり、その情報を介護員・看護員・相談員・栄養員・事務員といった各部署がそれぞれに記録を取り、その中から各部署間で必要な情報交換を行い、処遇に活用しています。記録の中には重複した情報が沢山存在したり、逆に総合的な把握をするために各情報を収集するのに時間がかかったり、記入方法のばらつきがあって他部署では使いづらいものであったりすることが生じてしまい、その情報の有効活用と日常生活への反映に時間と労力を費やすことになってしまいます。
介護サービス情報公開制度といった現代の流れから見ても、点在した情報をまとめ上げ総合的に活用する、より具体的で正確な記録とその活用を行うシステム作りが必要です。
各部署間での連携を高め合いながら、個別ケアに必要な情報を確実に記録、その情報の中から必要な情報を瞬時に拾い出し、利用者の日常生活での安全・安心・生きがい・自立に繋がる気付きやひらめきを無駄にすることなく活用し、継続的に再発見・見直し・実践を行っていく体制を作り上げ、そこで働く職員が愛情を持って個別ケアを実践することのできるプロ意識・技術向上を目指しました。
今まで行ってきた紙ベースでの記録に執着することなく、ITの利便性を最大限に発揮できるパソコンソフトの導入による情報の蓄積・整理・分析と、そこから見えてくる利用者の個性ある生活を導き出すために必要な職員のスキルを作り上げる取り組みについて整理していきます。

電子記録の導入と役割

パソコンソフトの導入は、入力が簡単で漏れなく統一性のある情報蓄積ができ、誰にでも簡単に整理・分析した結果を印刷できるパソコンソフトとして、富士データシステムの「ちょうじゅ」を導入しました。特徴として、
(1)パソコンでの直接入力だけでなく携帯端末PDAでの入力もできます。(2)記録項目の設定を細かく行えることによって、統一性のある記録が可能となり、実施サービス内容や出来事について客観的事実が容易に記録化できます。(3)必要な帳票やグラフのカスタマイズが可能でいつでも出力できます。(4)毎日の日誌とケース記録、各部署の記録を総合的に管理できることで、必要な情報共有と連携ができます。といったメリットがあり、4交代制の不規則な勤務状況の中でも日常の介護日誌、申し送りだけではなく、個人ごとの状況把握がリアルタイムに行えます。家族への情報伝達、資料作成などを含めた総合的な情報の共有、確認が行えるようになりました。
また、情報伝達・スケジュール・起案決済のツールとして、グループウェア(サイボウズ)を使用しIT化することで、業務の円滑性、効率性を上げ利用者と関わる時間が増え、個別ケアへの意識が高まりました。
これらの効果として大きく以下の5項目が挙げられます。(1)リアルタイムでの記録方法の実現により、アセスメント→ケアプラン→モニタリング→再アセスメントへの流れがスムーズになりました。(2)日常の記録を元に利用者の状態変化に対して部署間での連携が行いやすくなり、迅速な対応が可能となりました。(3)サービス実施内容や本人の施設での生活を、利用者・家族に迅速な情報の公開・共有が行えるようになりました。(4)利用者の変化などの情報を収集、数値視覚化出来ることで分析が容易となり、現状に合わせた効果的なサービスを計画・実施できるようになりました。(5)保険給付の適正性の証拠、監査の資料、リスクマネジメントとして処遇内容などの確実な証拠となります。

個別ケアを作り出す発想と実践

日々の生活の中での気付きは沢山あります。ルーチン業務を流していると、そうした気付きがどこかに埋もれることが多くなってしまいます。実は、そうした日常生活の中でのささやかな発見の中にこそ愛情があり、一人ひとりの個性を生かした生活を作り上げるのに大切な要素が詰まっているのです。
埋もれていく情報を、生きた情報へと変化させ活用するためにはどうしたら良いかと言うことを話し合った結果、職員目標として「一日一人一発見」を掲げ、その人らしさの発見を記録に記入し、そこから見えてくるその人らしさを処遇会議の中でも話し合い、やりがいにつながる取り組みへと組み立て、本人の意思確認を行った上でケアプランに反映しました。ケアプランにて実践した結果、どのような成果が上がったかをまとめ、全職員へ提示し、そこからまた新たな発見を継続していきます。職員の気付きを記録に残すことで、利用者の日常生活でのやりがいを作り出す手がかりとなりました。
現場リーダーとしての視点から記録と業務全般を関連づけて見ると、記録が電子化されたことにより、職員個々の記入時のバラつきがなく一定レベルでの統一性が確保でき、客観的なデータからサービス状況の見直し、評価が可能となるなどのメリットがあります。このメリットを活かすためには、「やった・やっていない」という二択ではなく、福祉サービスとして均質な知識・技術・心のバランスの取れた専門的サービスでの対応が行われているかの確認が必要となりました。各部署職員間の連携は常に意識されていますが、職員間の技術・専門性に注目する機会は少なく、お互いの評価と技術向上の体制が出来上がっていませんでした。そこに存在する「危険性」に気づかないことは、リスクマネジメントの観点からも大変危険なことです。
そこで、施設内の現場職全員対象に個別で基礎介護技術チェックを定期的に行うことにしました。(1)福祉サービスに必要な基礎介護技術のチェック項目を整理します。(2)全職員がチェックを受けられるようにスケジューリングを行います。(3)現場職員同士3名が、利用者・介護者・評価者となりチェックを実施します。(4)介護技術の細かな動作、声掛け、愛情ある心配り等について相互評価・指導を行います。(5)介護者の不安を解消し、サービス提供の自信に繋げます。
職員自身の技術・専門性に自信が付き、心にゆとりが生じることで、利用者一人一人と深く関わることができ、記録の質向上に繋がりました。また、福祉サービスはとても人間味のある仕事です。現場職員のモチベーションがサービス提供に大きくに関わってきます。より良いサービス提供をするため、職員の心を育て相談援助技術を向上する取り組みとして、ケアインプロ(即興劇の訓練をアレンジしたもの)、コーチングスキル研修を施設内で行っています。これらの研修とチェックは相乗効果で個別ケアスキルを高めています。利用者に対して今まで見えてこなかった状況・状態にも気付けるようになり、それを記録し活用することで安全・安心・生きがい・自立へ導く高品質なサービスを提供出来るようになります。

まとめ

記録の玉手箱を開けると、そこには「愛」がありました。記録の質が向上することで、サービスの質・処遇の質が向上し、利用者の安楽な生活環境と職員の安心して働ける職場環境が整いました。職員が連携し個別ケアを実践することで、利用者と職員の確固たる信頼感が生まれます。この信頼関係があってこそ、利用者自身が日常生活での自己決定を出来るようになりました。情報や専門的な知見・判断基準を提供しながら自己決定を支援し、利用者の笑顔を引き出していくことが、今以上の個別ケアの向上に繋がっています。記録の質の向上と職員の意欲が、高品質なサービスを生み、現場に笑顔をもたらします。
記録の大切さを再認識することで、福祉サービスの仕事へのやりがいを実感し、職員が利用者を見つめる温かい眼差しを誠実に表現し、愛情の伝わる健康で生きた記録を残すことを続けていきます。(サンライフ彦坂 中西隆介)

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このページは、hasebee@編集長が2006年10月28日 16:13に書いたブログ記事です。

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