社会福祉法人豊寿会:サンライフ彦坂

Smile is just spirit!(あなたの笑顔は私の元気)

とよはし100祭サポートイベント 愛・個別ケアフォーラム<豊橋大会>(平成18年10月28日)でサンライフ彦坂が発表した論文を公開します。

0610281.JPG施設利用者のためと介助してきたことが、利用者本人の生活領域を奪っていたことに気づきました。利用者一人一人の自分でやりたいことを見つけ、生活の自己実現が満たされることで、利用者の笑顔は周りを心温まらせ、魅了するものに変化しました。

はじめに

この取り組みでは、個別ケアによって、サービス利用者一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮し、自己実現と心温まる笑顔を引き出すかかわりについて実践しました。
個々のアクティビティーを活性化させた生活を送っていただくため、おむつなんて必要のない当たり前の生活を作り出す「おむつゼロ」への取り組みを2年前より行いました。おむつゼロの先にあったのは、その人らしい生きがいを持った個性的な生活を楽しく送ることです。我々が考えていくのは、個性を引き出すきっかけになる企画をどのように作り出し、利用者一人ひとりのポジティブな心を、愛情を持って応援するために何が必要かに変化しました。それを実践する為には発想の転換と企画力が必要となりました。利用者の笑顔を求め介護に取り組む姿勢から『Smile is just Spirit!(あなたの笑顔は私の元気)』を職員のキャッチフレーズとし、「個別誕生日会」「個別入浴」「役割作り」「楽しい食事」といった各種の取り組みを組み合わせて実践しています。

個別誕生日会の発想と実践

どんな誕生日を迎えたいか、誕生日に何をしてほしいかは、誰でも違う思いを持っているものです。月ごとに集団で誕生日祝いをする方法では、個々のニーズにまで対応することができませんでした。そこで、誕生日についてのニーズの聞き取りを一人一人行い、個別に企画実施を行うことで、全ての人に満足していただける誕生日を迎えていただくことになりました。
実例としては、奥様からのプレゼントのワインを楽しまれたり、旦那様と一緒に大好きな焼き肉食べ放題へ行ったり、夏の夜に思い出深い鵜飼い船を楽しんだり、日帰り温泉旅行に出かけ温泉と食事と買い物を楽しんできたり、その人だけのためのピアノコンサートを開催したり、家族からのご希望で家族団らんの誕生会で記念撮影を行ったり、100人に100とおりの誕生会が行われています。
個別誕生会が定着することで、かえって利用者同士の親睦が深まり、お互いのことを気遣う姿も見られるようになったり、次回の予定を職員に積極的に尋ねたり、外出等に合わせて自分の予定を立てたりと、夢をふくらませることで生活の楽しみへと繋がっています。

個浴の活用の発想と実践

入浴の方法について考えてみると、在宅生活では、その人の生活スタイルに合わせて、その人らしい入浴を行っていたのに、施設へ入所することでその人らしさは薄れ、慣れない手順での入浴に戸惑う人は沢山いらっしゃいます。そこで、個々の入浴を導き出すため生活歴から見直しを行い、入浴方法・入浴時間・対応職員の人数にいたるまで再検討し、一般浴での個別入浴を作り上げました。目指したのは、(1)流れ作業にならず一人一人がゆったりとした入浴ができるようにします。(2)本人にできることは、全て自分で行っていただきます。(3)マンツーマンでの入浴を行うことによりその人の入浴スタイルを導き出していきます。(4)夜間不眠の方や風呂は夜に入りたいといわれている利用者を対象に19時から入浴していただきます。といった内容です。
これを実現するために、在宅時の入浴スタイルを把握するためのアンケート調査を行い、その内容に沿って入浴の方法を修正していきました。椅子・シャワー・ボディーソープでは全介助の必要だった利用者が、昔使い慣れたお風呂マット・固形石鹸・洗面器・タオルを利用していただくことで自立した入浴が可能になったり、夜間眠りの浅かった利用者が夜間入浴で不眠が解消されたり、恥ずかしがって入浴を好まなかった利用者が一人でゆったり入れることでお風呂好きになり、様々な効果が出てきました。

日常生活での役割・地域での役割を作り出す発想と実践

在宅生活では、家庭や地域で何らかの役割を持ち生活していた皆さんが、施設へ入ることで役割をなくし、退屈な毎日を送ってしまうことは寂しいことです。
職員の目標として「一日一人一発見」を掲げ、毎日の利用者との関わりの中で、今何をしたいと思っているのか、職員が利用者のできる事まで奪ってしまっていないかを考えながら援助を行い、利用者が本来持ち合わせている個性を掴み取り、日常でやりたいこととできることを整理し、その人に合った役割づくりを行いました。役割としては大きく分けて「日常生活での役割」と「地域での役割」があります。「日常生活での役割」としては、洗濯干しや洗濯たたみ、洗濯物のかた付け、コップ洗い、おしぼりたたみが定着しています。家庭での生活を考えてみると、これらの事は当たり前に行ってきたことです。一人一人が役割意識をもち、他の利用者との会話を楽しみながら仕事をし、そこから生まれる職員や他の利用者とのコミュニケーションから「役に立つ」「頼りにされている」という充実感が生まれ、自立心をもった生活を維持する助けとなっています。「地域での役割」では、保育所訪問を行っています。以前より保育所から施設へ来所していただき、園児たちとの交流をすることはあったのですが、核家族化の進んだ現代だからこそ地域で果たす役割があるということと、大好きな子供達との交流を保育所という場所で行うことで、みなさんの心に前向きな影響があると考え、利用者自身の保育所への訪問を継続的に行うようにしました。子供達と一緒に生き生きと歌を歌ったり、一緒にひまわりを育て楽しんだり、昔の遊びを伝授して遊んだりすることで、子供達にも大変喜ばれています。参加者からも「かわいかったね」「楽しかったね」という感想から、回を重ねるごとに「今月はいつ保育所に行くの?」や「今度はこの服を着ていくわ」と言う積極的な声も聞かれるようになりました。お互いの名前を覚え名前で呼び合うことで、園児と利用者の間に信頼感もできてきました。もっともっと子供たちを喜ばせてあげたいというボランティア精神をも作り出しています。
一泊温泉旅行、日帰り温泉、買い物、食事会、花見、蛍狩り、公園散策といった、日々の企画で地域へ出向き、地域とのつながりが広がることで、一人ひとりの笑顔と積極性が増えてきています。また、積極的な気持ちを引き出すきっかけとして、オムツの必要ない生活を作り上げてきたことが、精神的・身体的にも大きな価値がありました。

食事、家庭での食卓を目指す発想と実践

現在の施設では、テーブルと椅子での食事風景が一般的となっていますが、個々の家庭での食卓を考えたとき、畳みにちゃぶ台での食事風景に慣れてきた皆さんも多いです。
慣れた環境との違いから、食事に落ち着きがなかったり、食事に興味を示されない人がいても当たり前のことではないのかとの疑問から、「家庭での食卓、団らんの場を目指して」という目標を立て、ゆったりと楽しく食事を摂っていただける畳みスペース作りを行っています。ちゃぶ台・座椅子・小物の購入を一緒に行ったり、ご本人の愛着ある食器や手作りのコップを使用することで、日常生活での生活感を出しています。穏やかな食事となり、食事中に席を立たれる事なく自分のペースで食事や会話を楽しまれるようになりました。食後にはお昼寝を楽しまれています。椅子と畳みでの生活、その人に合った生活スタイルを取り入れることで、笑顔の絶えない温かい場所として、注目を浴びています。

結論とまとめ

個別のニーズとその対応を意識した取り組みを組み合わせて実施することで、相乗的に身体レベル・気持ちのレベルを高める結果が得られました。個別ケアには、職員の意識を個別視点と個別発想に持っていくことと、利用者本人の前向きな思いを育てていくことが大変に重要です。この気持ちが重なり合った時に初めて、心の底から楽しんでいただける毎日の生活環境が生まれてくるのです。良い意味で「わがままを言えて、その為の努力をしてもらえる環境」が、利用者サイドから見た職員への信頼感となり、利用者の満足感と笑顔が、職員の達成感と笑顔にもつながり、その笑顔がまた利用者のところへ帰って元気な笑顔を引き出します。互いをいたわりあう思いやりと愛の感じられる日常サイクルが、利用者個々のQOL向上に繋がり、職員にとってはプロとしての成長を促しています。
個別を意識したケアは、確実に介護予防と心身機能の向上の助けとなり、その人らしい笑顔を引き出すきっかけとなっています。「生きていることを味わう個別ケアを実践していく」取り組みを継続していきます。(サンライフ彦坂 清水令奈)

このブログ記事と同じカテゴリの記事

最近のブログ記事

JKA競輪補助事業完了のお知らせ
JKA競輪補助事業完了のお知らせ
このたび財団法人JKAから、平成24年度競輪補助...
彦坂の春。
彦坂の春。
ひと雨ごとに温かくなってきましたね。日差しは春を...
寿司祭りをおこないました!
寿司祭りをおこないました!
3月6日(水)寿司祭りをおこないました。 毎年こ...
お寿司のバイキングでした。
お寿司のバイキングでした。
日に日に春らしい気候になってきました。彦坂周辺で...
春が待ち遠しいですね。
春が待ち遠しいですね。
今日は朝から雨が降っています。雪に変わるかも知れ...
Creative Commons License
このブログのライセンスは クリエイティブ・コモンズライセンス.

このブログ記事について

このページは、hasebee@編集長が2006年10月28日 16:09に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「オムツ使用0(ゼロ)を目指して!!」です。

次のブログ記事は「記録の玉手箱」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

アーカイブ